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しょうきょく
「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8
橋本 五郎
線上閱讀橋本 五郎《「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8(しょうきょく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,896 字 · 12 頁
「…………」
田中君はふと腰を浮かした。庭のあたりで、たしかに、何か悲鳴のようなものが聞えたのである。
「…………」
耳をすました。それから、立って窓ぎわまで忍び足で行って見た。
「畜生!」
とこん度はたしかに太い男の声で今にも相手に飛びかかるかのように聞えた。風が、またひとしきり吹き荒んだ。
庭ではない、門のあたりだ。雨と、風に交って、たしかに何かを争うドドドという地ひびきが感じられる。
ヒーッと鋭い叫びがした。ドタドタと地揺れがした。たしかに風の音ではないのである。
「…………」
女の悲鳴だ。
田中君の胸はいつかトキントキンと動悸を打っていた。
と、つづいて、
「打ち殺すぞ!」
とその間は風の音で消されて、次いで急に、
「野郎!」
と烈しい気合がはっきり聞えた。門近くの板塀のあたりに、重い物体が打つかったようである。同時に大きな暴が窓を破るかに打ち叩いた。
田中君が、殺った、と思った瞬間に、電燈が消えて、こん度はしばらくつかなかった。
「…………」
行って見たいと思った。しかし膝がガクガクして、内股のあたりは妙に冷え切っているのだった。
風雨は益々暴れた。