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たんていしょうせつのなぞ

探偵小説の「謎」

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《探偵小説の「謎」(たんていしょうせつのなぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,820 字 · 235 頁

青空文庫

という古代ギリシアの諧謔詩がある。日本にも似たような歌があったと思う。人間はある場合には、浴槽の板にさえなりたいのである。

もっと尊い方面では、神仏の化身というのがある。神さまは何にでもお化けなさる。全身におできだらけの乞食に化けて、人間がそれを親切にするかどうかをためし、親切にしたものには大なる福をお授けになる。鳥にでも、けだものにでも、さかなにでも、何にでもお化けなさる。神さまというものは、人間の理想を象徴するのだから、この変身化身の衆も、人間の最も願望するところの一つの理想の境地に相違ない。いかに人間が「化ける」ことを好むかの一証である。

それゆえにこそ、世界の文学をさかのぼってみると、大昔から「変形譚」の系列がある。これを歴史的に調べると面白いと思うが、いま私にはその智識がない。ごく近年のもので、この一年ほどのあいだに、私は二つの現代的変形譚を、たいへん面白く読んだ。一つはカフカの「変身」一つはフランス現代作家マルセル・エイメの「第二の顔」。しかし、この二作は、いずれも化ける願望そのものでなく、望まずして化けたがゆえの悲惨を取り扱っている。