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たんていしょうせつのなぞ

探偵小説の「謎」

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《探偵小説の「謎」(たんていしょうせつのなぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,820 字 · 235 頁

青空文庫

(A)割符法

(B)表形法(四例)

現代から暗号小説というものがほとんど影を消したゆえんである。

私の採集しえた暗号小説はわずかに三十七例にすぎないが、それらを私の分類の項目にあてはめてみると、(C)の「寓意法」と(F)の「媒介法」に属するものが最も多い。これによっても、小説としては機智のある暗号が喜ばれることが分る。左の項目中作例数を全く記さぬものは、その項の小説例がないのである。

(A)割符法 プルタークの英雄伝によると、古代ギリシアのスパルタの将軍は、Scytale と呼ばれた同じ太さの棒を双方で持っていて、その棒に皮を巻いて合せ目に通信文を書いて送り、受取った方では、同じ棒に巻かなければ、これを判読することが出来ないという方法を用いていた。割符の原理である。後にしるす「窓板法」なども、原理としては、やはり、これと同じものだ。

(B)表形法(四例) 物の形、あるいは道順などを、子供のいたずら書きのような図形で現わす方法。ルブランの「奇巌城」、甲賀三郎の「琥珀のパイプ」などに、これが用いられている。乞食や泥棒が仲間に指示するために、道端の石や塀に白墨その他で奇妙な彼らだけに分る符牒をしるしておくのも、この暗号記法の原始形である。