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たんていしょうせつのなぞ
探偵小説の「謎」
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《探偵小説の「謎」(たんていしょうせつのなぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,820 字 · 235 頁
そこで骨董商の主人は、窮余の一策を案じ、自分が泥棒に化け、工房の天窓から忍びこみ、その宝石を盗んでどこかへ隠してしまう。翌朝盗難届けをすると、警察が調べに来るが、泥棒のはいった痕跡がハッキリ残っているので、盗難と認められる。骨董商はお得意に陳謝して、宝石の代金に相当する現金を返済する。宝石代だけまるまる損をするわけだが、店の名声には替えられないというのである。探偵小説のことだから、これを正面からは書かない。結果の方から逆に書いて行くので、非常に不思議な物語となる。自分で自分のものを盗む、すなわち被害者と犯人が同一人なのである。
「傷害」の例には、私の旧作がある。西洋の作例もあるが、それらは長く書かないと意味が通じないので、これだけは自作を引用する。戦前、陸軍の高官の邸内に起った事件で、ある夜、誰もいない主人の書斎へ泥棒が入る。主人の息子の青年が、それに気づいて、まっくらな書斎へ行ってみると、賊はピストルをうって、窓から逃げてしまう。そのピストルの弾丸が息子の足に当り、重傷なので病院にはいるが、生れもつかぬびっこになってしまう。後に盗難品は庭の池底から現われる。