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はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

線上閱讀甲賀 三郎《支倉事件(はせくらじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 頁

青空文庫

押問答の中に時間はどん/\経つ。約束の時間になれば渡辺刑事がやって来る。下手な事をやられて、変に勘違いをされたり、依怙地になられては困って終う。石子刑事は、気が気ではなかった。重ねて口を開こうとするとたんに玄関で案内を乞う声が聞えた。

「ご免下さい」

確に渡辺刑事の声である。

石子はしまったと思った。

石子刑事は渡辺刑事の声が玄関でしたので、しまったと思っていると、やがて女中が出て来て支倉に低声で何か囁いた。

「君の友人とか云う人が訪ねて来たそうじゃが」

支倉は苦り切って云った。

「あゝ、渡辺って云うのでしょう」

石子は白ばくれて云った。

「一緒に近所まで来て別れたのですが、何か用事が出来たのかしら」

「別に用はありませんがと仰有ってゞした」

女中は云った。

「そうですか、それじゃ未だ少し手間取れるから、先へ行って呉れと云って呉れませんか」

「はい、承知いたしました」

女中が退って行くと、石子は支倉の方に向き直って、

「どうも失礼いたしました。こちらに伺っている事を知っていたものですから、鳥渡寄って見たものと見えます」

彼は鳥渡言葉を切って、

「で、いかゞでしょう。