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かいていごじょうほう
改訂御定法
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《改訂御定法(かいていごじょうほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 頁
「嘘ばっかり」佳奈は直衛をにらんで立ちあがった、「お酒の支度をするように伝えてまいります」
「佳奈がしてくれるんじゃないのか」
「祝言の日どりもうかがわずにですか」
「それをきめようと云った筈だぞ」
「わたくしがいそいでいるなんてお思いにならないでね」佳奈はにこっと笑い返した、「縁談はほかにもあるんですのよ」
「持参金は返さないぞ」
佳奈はなにも云わずに出ていった。
まさかそのまま帰ってしまおうとは思わなかったが、若い家士が二人、酒肴の膳をはこんで来て給仕に坐ろうとするので、佳奈はどうしたかときくと、お帰りになりましたと答えた。
「怒っていたようか」
「木瓜の実は失敗したと仰しゃって、舌を出して笑っていらっしゃいました」と家士は云った、「そうして、あれをすっかりまとめて、持ってお帰りになりました」
直衛は声を出さずに笑った。
明くる日、彼は精士館へいった。宗兵衛に向って、躰力をつけると云ったが、それは誇張ではなく、要屋の訴訟の裁決に当って、彼には実際その必要があったのである。精士館の控え所で稽古着に替え、別科の道場へ出てゆくと、若い藩士が五人、面をつけない稽古着でやって来て、直衛を半円に取巻いた。