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かいていごじょうほう

改訂御定法

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《改訂御定法(かいていごじょうほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 頁

青空文庫

「よし、見せてやろう」直衛は頷いて、縁側に控えている矢堂玄蕃のほうを見、そのうしろにいる同心に呼びかけた、「――矢堂どのの刀を持ってまいれ」

同心の一人が重職たちのほうへ眼をやり、それから立ってさがっていったが、すぐに、一とふりの刀を持って戻り、直衛に渡した。直衛は座をすべり、懐紙を口に咥えて、静かに刀を抜いた。鞘を左に置き、刀を垂直に立ててその切刃を見た。切先から鍔元まで。次に表と裏をうち返して、ゆっくりと眺めてから、咥えていた懐紙を口から取り、その白刃を要屋のほうへ、さしかざして見せた。

「この刀を見ろ」と直衛は云った、「一点のくもりもなくきずもないこの刀を、そこからよくよく見ろ」

要屋主従は手をおろしたままで、不安そうにその刀を見あげた。

「刀は武士のたましいという」直衛の声はやはり静かであり、相手をなだめるようなやわらかみを帯びていた、「――そのほうどもには侍のから念仏と聞えるかもしれぬが、これは武士のたましいであり、武士のまことに武士らしさをあらわすものだ」

彼はさしかざしていた刀をさげ、それを持ったままで、拳を膝へ置いて続けた、「――武家に生れた男子は、およそ七歳にして切腹の式をまなぶ、そのとき彼はその家の子ではなく、藩家の臣に加えられるのだ、もはやおのれというものはない、身も心も藩家に捧げ、いったん