輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ほうろうさっかのぼうけん

放浪作家の冒険

西尾 正

線上閱讀西尾 正《放浪作家の冒険(ほうろうさっかのぼうけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,694 字 · 33 頁

青空文庫

おれだって場数はふんでいるし、剣道には自信がある。喧嘩もまんざらきらいのほうではない。体はもうこれ以上骨がじゃまでやせられないほどの骨皮筋右衛門だが、骨格には自信がある。相手が無手なら三人まではらくにひきうけられるのだが、この場合無手ではなし、しろうとではなし、犯行をしられているだけに必死にとびかかってくるに相違ない。わるくするとおだぶつだ。

おれはできるだけおだやかに答えた。

「なにか用か」

「…………」

「…………」

「――みたか」

男はやがて、おしつぶしたような、かさけのある嗄れ声で、眼は依然おれをねめつけながら、ゆっくり、念をおすようにいった。

「みた」

おれがこう答えるのと、男の体がはやてのように体あたりにとびかかってくるのとが、ほとんど同時だった。おれは、まぶたの危険にとずるがごとく、ひらりと体をかわした。と、どすうん、というものすごい音とともに男ははずみをくらって、それまでおれがうしろだてにしていた工事場の材木に骨もくだけよとばかり、空をきって激突した。ふたりは瞬時にしてふたたび二間の距離をおいて相対した。男はいまの空撃でよほどまいったのであろう、とがった口から血をぽたりぽたりとたらしつつ真白な息をはき、胸が波のようにふくれたりちぢんだりしている。