輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

線上閱讀林 芙美子《放浪記(初出)(ほうろうき(しょしゅつ))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 103,349 字 · 207 頁

青空文庫

さて残ったものは血の多い体ばかり。

私は退屈すると、片方の足を曲げて、キリキリと座敷の中をひとまわり。

長い事文字に親しまない目には、御一泊壱円よりと白々しく壁に張られた文句をひろい読みするばかりだった。

夕方――ボアリボアリ雪が降った来た。

あっちをむいても、こっちをむいても旅の空、もいちど四国の古里へ逆もどりしようか、とても淋しい鼠の宿だ。

――古創や恋のマントにむかひ酒――

お酒でも楽しんでじっとしていたい晩だ。

たった一枚のハガキをみつめて、いつからか覚えた俳句をかきなぐりながら、東京の沢山の友達の顔を思い浮べた。

皆自分に急がしい人ばかりの顔だ。

ボオウ! ボオウ! 汽笛の音を聞くと、私はいっぱいに窓を引きあけて雪の夜の沈んだ港に呼びかけた。

青い灯をともした船がいくつもねむっている。

お前も私もヴァガボンド。

雪々雪が降っている。考えても見た事のない、遠くに去った初恋の男が急に恋いしくなって来た。

こんな夜だった。

あの男は城ヶ島の唄をうたった。

沈鐘の唄もうたった。なつかしい尾道の海はこんなに波は荒くはなかった。

二人でかぶったマントの中で、マッチをすりあわして、お互いに見あった顔、一度のベエゼも交した事もなく、あっけない別離だった。