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ぶんがくにおけるふるいもの・あたらしいもの
文学における古いもの・新しいもの
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《文学における古いもの・新しいもの(ぶんがくにおけるふるいもの・あたらしいもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,257 字 · 11 頁
「風雲」の作者がその青年期の前半と文学修業の道の初まりとを過した時代に、日本の勤労大衆はまだ自身の歴史的任務の方向を今日のように明確にしておらず、感受性の鋭い、精神に抗議の力をもった青年たちは階級の発展的必然に自分を結合させる機会を得るまでに、さまざまの個人的まわり道をした。
私は、最近になって日本におけるプロレタリア文学のかつての指導者のある人たち、村山知義、林房雄、亀井勝一郎諸氏の社会的階級的行動を見て、今日の情勢におけるそれらの人々の意外と思われるような弱さの根源となっている内的なものの契機は、遠く以上のような歴史に照して観察されねばならず、それ以後の研究会はなやかであった時代の運動の特色と結びあわせて探求して、はじめて客観的土台の上から発展的に教訓をくみ出させるものであろうと考えるようになった。
「風雲」の作者が曲折ある実践によって身につけた階級人としての鍛錬と高まりとは、こんにち竹造を一篇のプロレタリア小説の主人公として自身の前にひきすえるところまで到達した。
「風雲」が主題の方向に積極性をもつゆえんであろうと思う。同時に、作者はこの一篇の小説によって、感情の質的転化というものは、どんなに永年にわたる忍耐づよい社会的実践を経なければ獲得し難いものであるかという実例をも、われわれに示している。