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ぶんげいのてつがくてききそ
文芸の哲学的基礎
線上閱讀夏目 漱石《文芸の哲学的基礎(ぶんげいのてつがくてききそ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 49,519 字 · 98 頁
ところが不通俗に考えた結果によるとまるで反対になってしまいました。物我などと云う関門は最初からない事になりました。天地すなわち自己と云うえらい事になりました。いつの間にこう豹変したのか分らないが、全く矛盾してしまいました。(空間、時間、因果律もやはりこの豹変のうちに含んでいます。それは講話の都合で後廻しにしましたから、今にだんだんわかります)
なぜこんな矛盾が起ったのだろうか。よく考えると何にもないのに、通俗では森羅万象いろいろなものが掃蕩しても掃蕩しきれぬほど雑然として宇宙に充している。戸張君ではないが天地前にあり、竹風ここにありと云いたくなるくらいであります。――なぜこんな矛盾が起ったのであろうか。これはすこぶる大問題である。面倒にむずかしく論じて来たら大分暇がかかりましょう。私は必要上、ごく粗末なところを、はなはだ短い時間内に御話するのであるから、無論豪い哲学者などが聞いておられたら、不完全だと云って攻撃せられるだろうと思います。しかしこの短い時間内に、こんな大袈裟な問題を片づけるのだから、無論完全な事を云うはずがない、不完全は無論不完全だが、あの度胸が感心だと賞めていただきたい。