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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子(どうじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 頁

青空文庫

堀は、ぼんやりと盲人のような歩き方をして、耳をかたむけたが、何も返事をしなかった。

「お尋ねいたしたいのでございますが。」

又そういう透き徹った声がした。堀はそのとき既に垣一重隔て立っていた。

「ご用向きは――。」

堀の顔は、ふしぎそうに、例の、生々しく美しい鼻を眺めた。

「先日から少し落しものを致したので尋ねているんでございますが、そのかいもなく判りません。」

「はあ、落し物をな。」

堀は、考え込んで、それきり立って動かなかった。

「もしお宅のお庭にでもないものかと存じまして――。」

内儀は、垣のそとから微笑んでみせた。それが堀には何処かで見たことのある微笑みのように思われたが、どうも覚えが出ない。手を拱んで考えているうち、内儀の日傘の上に日かげが移っていた。

おあいは、そのとき直ぐに垣のそばへ寄ると、内儀はていねいにあいさつをした。そして、

「先夜はおそくまでおさわがせして相すみません。」

そういうと、又静かに微笑ってみせた。おあいは、この不思議な内儀と、堀の病気とが係わっているように思われてならなかった。

「お話ですと家の庭にでも落してないかと仰有いますが、そういうものは一向に見当らないんでございますよ。