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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子(どうじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 頁
あらゆるこの都会の底の底の忌わしげな情痴の働きが、なおかつこの水中のなかに春のように濃く、あるものは燦然と輝いて沈められてあるのであった。夜は夜についで蒼く明けきらないうちに、いかにそこは諸諸のものが棄てられ沈められることであったろう。かれは、これらの考えから、水とはいえない一種のあぶらのような水面をなお永くふしぎなものを見詰めるように眺めるのであった。
そのときうっすりと日が陰ったような気がした。が、実はそうではなく、五六間さきに一人の女が歩いてゆくのが見られた。はっとする間もなく、彼女は、すぐかれを見つけると何気なく、すなおに微笑んだのである。そのときかれは殆ど夜ばかり往来で見た彼女の皮膚が、日光に透いて見えて、いかに白く明確に輪廓づけられたものであるかを初めて知ったのである。それは貝類の肌のような白みのなかに稍うっすりしたオレンヂいろを交ぜたような光沢をもったところの、殆ど、日本人としては稀に見る皮膚の純白さをもっていたのである。之加も夜、やや褐いろに近いと思えた目は紛うかたもない藍ばんだ黒さで、両側の長い睫毛に蔽われていて、あだかも澄んだ蒼い池のまわりの蘆荻の茂みのようで、しかもゆっくりした光をもって、しずかに、かれの視線を見返したのであった。