輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子(どうじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 頁

青空文庫

多門はしかしもう一度声をかけて見ました。

「長町三番丁はどうまいるのか、教えてくれ。」

が、女はそのときこんどは明らかな逃足になり、川岸を左へ曲り、暗い椎の木のある筑土の角へ曲ろうとしました、そこは多門の屋敷のある小路だから、多門はいそいでその女の肩さきへ手をかけ、ちからを込め、ぐいと止めようとしました。

「お待ち――」

そう言ったが、女は低い、しかし何か動物的な、鋭いこえで、

「いいえ。」

と言ったきりばたばた反対の、川岸の、暗い石垣のあるところへ行き、そして多門がその石垣の上に立ったときには、もうその姿がなくなっていました。はてと、多門は考えながらおかしな女だと思って、自分の屋敷の前へかえって来ました。多門の屋敷は小路の角にあって、門番の明り窓がほんのりと冷たい秋夜のなかを染めているだけで、あとは溝ぎわに、おけらの啼くこえだけがぴろろろろと聞えるだけでした。多門のような武士でもそのとき何か特別な、季節以外の、ふしぎな淋しい気もちがして来て、そして門番の方へ行こうとすると、明りの下に朦朧とした何かの影が佇んでいるのを見出しはっとしました。その次の瞬間にはその佇んでいるものが明らかに先刻の女であることがわかり、先刻もそう思ったのであるが、どうやら見覚えのある顔だと今また事あたらしくそう感じたのでした。