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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

線上閱讀林 芙美子《新版 放浪記(しんぱん ほうろうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 247,330 字 · 497 頁

青空文庫

高いポプラがゆっさゆっさ風にそよいでいる。

「これで雨にでも降られたら、散々ですよ。」

夜警に出かけると云う、年とった御亭主が鉢巻をしながら空を見てつぶやいていた。

(九月×日)

朝。

久し振りに鏡を見てみた。古ぼけた床屋さんの鏡の中の私は、まるで山出しの女中のようだ。私は苦笑しながら髪をかきあげた。油っ気のない髪が、ばらばら額にかかって来る。床屋さんにお米二升をお礼に置いた。

「そんな事をしてはいけませんよ。」

お上さんは一丁ばかりおっかけて来て、お米をゆさゆさ抱えて来た。

「実は重いんですから……」

そう云ってもお上さんは二升のお米を困る時があるからと云って、私の背中に無理に背負わせてしまった。昨日来た道である。相変らず、足は棒のようになっていた。若松町まで来ると、膝が痛くなってしまった。すべては天真ランマンにぶつかってみましょう。私は、罐詰の箱をいっぱい積んでいる自動車を見ると、矢もたてもたまらなくなって大きい声で呼んでみた。

「乗っけてくれませんかッ。」

「どこまで行くんですッ!」

私はもう両手を罐詰の箱にかけていた。順天堂前で降ろされると、私は投げるように、四ツの朝日を運転手達に出した。