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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

線上閱讀林 芙美子《新版 放浪記(しんぱん ほうろうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 247,330 字 · 497 頁

青空文庫

」もう二時すぎである。青年は下駄を鳴らして帰って行った。たい子さんは、あの人との子供の骨を転々と持って歩いていたけれど、いまはどうしてしまったかしら、部屋の中には折れた鏝が散乱していた。

(十二月×日)

雨が降っている。夕方時ちゃんと二人で風呂に行った。帰って髪をときつけていると、飯田さんが来る。私は袖のほころびを縫いながら、このごろおぼえた唄をフッとうたいたくなっていた。ああ厭になってしまう。別れてまでノコノコと女のそばへ来るなんて、飯田さんもおかしい人だと思う。たい子さんは沈黙っている。

「こんなに雨が降るのに行くの?」

たい子さんは侘しそうに、ふところ手をして私達を見ていた。

二人で浅草へ来た時は夕方だった。激しい雨の降る中を、一軒一軒、時ちゃんの住み込みよさそうな家をさがしてまわった。やがてきまったのはカフエー世界と云う家だった。

「どっかへ引っ越す時は知らしてね、たい子さんによろしく云ってね。」

時ちゃんはほんとうに可愛い娘だ。野性的で、行儀作法は知らないけれども、いいところのある女なり。

「久し振りで、二人で、別れのお酒もりでもしましょうか……」