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めいじびじんでん

新編 近代美人伝 (上)

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (上)(めいじびじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 頁

青空文庫

その時勢に、新江戸の土くさい田舎もののずぶとさと反撥力をもった、新開の土地などでは見られない現象を、古い伝統をもつ大都会、浪花の大阪の土地に見たのは当然の事であったろう。

経済都市大阪のぼんちは、酒と女の巷へ、やりどころのない我儘と、頭の廻らしようのない鬱憤を、放埒な心に育てて派手な場処へと、豪華を競いにいったが、家にかえれば道徳の人情責めと、いわゆる世間の義理とが、小むずかしく、光った頭のちょん髷と、背中を丸くして目を摺り赤めた老婆の涙が代表して待構えていた。そしてぼんちは強い刺戟に爛れた魂を、柔かい女の胸の中に、墓場に探ねあてて死んでいった。

そうした義理人情の葛藤と、武家の義理立ての悲劇を語りものにしたのが義太夫である。であるから、節であり、絃奏をもったものでありながら、義太夫は他の歌とはちがって唄うものではない、語りものである。現われる人物の個性を、苦悩を語り訴えるのである。

竹本義太夫がその浄瑠璃節の創造主であるゆえに義太夫と唱え世に広まった。またその当時人形操りには辰松八郎兵衛、吉田三郎兵衛などが盛名を博し、不世出の大文豪、我国の沙翁と呼ばれる近松門左衛門が、作者として名作を惜気もなく与え、義太夫に語らせ、人形操りの舞台にかけさせた。