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めいじびじんでん

新編 近代美人伝 (上)

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (上)(めいじびじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 頁

青空文庫

女王に隷属するのは当り前ではないかといった態度が歴然としていた。最後までそれで通して行こうとしたのが、何か気が阻んだのだ。一本気だけに絶望の底は深かった。

彼女が大層他人当りがよくなったという事を聴いたのもかなり前のことで、抱月氏のお通夜の晩に、坂本紅蓮洞の背中を、立ったまま膝で突つくものがある。冬のはじめの、夜中のこととて、紅蓮さんは暖まるものを飲んでいた一杯気嫌で、

「誰だ」

と強くいって振りむいて見ると、須磨子がうつむき加減に見おろしていて、

「どいてくれない?」

その座にかわっていたいのだという。末席の後の方だったので、やっぱり棺の側にいた方がよかろうというと、

「でも、あの女が私の方ばかりじろじろ見ているのだもの」

と島村未亡人の方を指差したということである。我儘ものだが、どこかにしおらしい、自分から避ける心持ちも持っていたのである。

でも彼女は、島村氏の令嬢たちが芸術座へ生計費を受取りに来たとき優しくは扱わなかった。門前払い同様にしたといわれ、ずっと前の家では格子戸を閉てきり、水をぶっかけようとしたこともあるという。それは何かしら心の安定を失っていたときと見た方がよかろう。