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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (上)(めいじびじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 頁
樋口一葉
一
秋にさそわれて散る木の葉は、いつとてかぎりないほど多い。ことに霜月は秋の末、落葉も深かろう道理である。私がここに書こうとする小伝の主一葉女史も、病葉が、霜の傷みに得堪ぬように散った、世に惜まれる女である。明治二十九年十一月二十三日午前に、この一代の天才は二十五歳のほんに短い、人世の半にようやく達したばかりで逝ってしまった。けれど布は幾百丈あろうともただの布であろう。蜀江の錦は一寸でも貴く得難い。命の短い一葉女史の生活の頁には、それこそ私たちがこれからさき幾十年を生伸びようとも、とてもその片鱗にも触れることの出来ないものがある。一葉女史の味わった人世の苦味、諦めと、負じ魂との試練を経た哲学――
信実のところ私は、一葉女史を畏敬し、推服してもいたが、私の性質として何となく親しみがたく思っていた。虚偽のない、全くの私の思っていたことで、もし傍近くにいたならば、チクチクと魂にこたえるような辛辣なことを言われるに違いないというようにも思ったりした。それはいうまでもなくそんな事を考えたのは、一葉女史の在世中の私ではない、その折はあまり私の心が子供すぎて、ただ豪いと思っていたに過ぎなかった。