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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (上)(めいじびじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 頁
それに次いで、明治期は、芸者美が代表していたといえる。貴婦人の社交も拡まり、女子擡頭の気運は盛んになったとはいえ、そしてまた、女学生スタイルが、追々に花柳界人の跳梁を駆逐したとはいえ、それは、大正の今日にかかる桟であって、明治年間ほど芸妓の跋扈したことはあるまい。恰度前代の社交が吉原であったように、明治の政府と政商との会合は多く新橋、赤坂辺の、花柳明暗の地に集まったからでもあろう。芸妓の鼻息はあらくなって、真面目な子女は眼下に見下され、要路の顕官貴紳、紳商は友達のように見なされた。そして誰氏の夫人、彼氏の夫人、歴々たる人々の正夫人が芸妓上りであって、遠き昔はいうまでもなく、昨日まで幕府の役人では小旗本といえど、そうした身柄のものは正夫人とは許されなかったのに、一躍して、雲井に近きあたりまで出入することの出来る立身出世――玉の輿の風潮にさそわれて、家憲厳しかった家までが、下々では一種の見得のようにそうした家業柄の者を、いきなり家庭の主婦として得々としていた――これは中堅家庭の道徳の乱れた源となった。
しかしながら、それは国事にこと茂くて、家事をかえり見る暇のすけなかった人や、それほどまでに栄達して、世の重き人となろうとは思わなかった人の、軽率な、というより、止むを得ぬ情話などが絡んでそうなったのを――しかも