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いちのくらさわなんりょう
新編 風雪のビヴァーク
松濤 明
線上閱讀松濤 明《新編 風雪のビヴァーク(いちのくらさわなんりょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 25,081 字 · 51 頁
これに入ろうか入るまいかと考えあぐねて、腹をきめるために沢辺に下りて、またパンを噛りながらひと休みした(一一・一五~・四〇)。結局福長の言に従うことにして、橋を渡って対岸の路を往く。路は今までと違ってすごく悪くなり、相変らず棧道が多いが、朽ちかけていて幾度か足を踏み込んで肝を冷やした。三〇分も行くと左岸に壮大な崩壊が現われた。高度は確かに小さいが、幅の点では穂高の北穂沢にも比すべき代物である。白薙だ。ただちに川辺に下り、裸足になって徒渉した。浅いところを選んで渡ったので、膝の少し上まで浸っただけだったが、聖から、兎から、上河内から流れ出る雪どけの水は、指がちぎれるほど冷たい。
さて足を拭って眺めると、一向に路らしいものが見えず、おまけにガレの真ん中は素晴らしい落石がしきりと砂煙りを上げている。しかしこれが白薙であることには相違ないので、なんでもかでも安全そうなところを歩こうときめて、右縁を辿って登ったが、ガラガラと崩れるガレは歩きにくい。右に避けると、ホールドも何もない堅砂の斜面に入ってしまって、にっちもさっちも行かなくなる。いつまでたってもさっきの徒渉地点がすぐ下に見えて気になった。