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ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《日は輝けり(ひはかがやけり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 頁
そして浩がさとった通り、孝之進は健康な息子に会うことも、生きられた――ほんとうに、もうすんでのところで、してやられるところだった危い命を取り止めた――娘に話すことがどのくらい嬉しかったか分らないのである。けれども、金のことになると――。孝之進の頭はめちゃめちゃになった。堪らなかった。そして歯と歯の間で、彼はいまいましげに唸るのであった。
電車が! 自動車が吠えて行く。走る車、敷石道を行く人の足音。犬がじゃれ、子供が泣き、屋根樋に雀が騒ぐ……。自転車が蹴立てて通る塵埃を透して、都会の太陽が、赤味を帯びて照っている。
正午少し過ぎの、まぶしい町を孝之進は臆病に歩いて行った。何も彼も賑やかすぎ、激しすぎた。目が不自由なため、絶えず危険の予感に襲われている彼は、往来を何かが唸って駆け抜けると、どんなに隅の方へよっていても、のめって轢かれそうな不安を感じた。縋る者もない彼は、脇に抱えた縞木綿の風呂敷包みをしっかりと持って、探り足で歩いた。国から持ってきた「狙仙」の軸を金に代えようとして行くのである。鈍い足取りで動く彼の姿は、トットッ、トットッと流れて行く川面に、ただ一つ漂っている空俵のように見えた。