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にちにちへいあん

日日平安

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《日日平安(にちにちへいあん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 28,297 字 · 56 頁

青空文庫

と云った。

「事態はこのとおり一刻を争うし、ほかに適切な手段もなさそうだ、この一手でやることにしようじゃないか」

菅田平野は他の者のようすをうかがっていたが、誰にも異存はないようであった。そこで彼はみんなに坐るように頼み、自分の計算を書きとめた料紙をひらいて、これからの行動を詳しく説明したうえ、その担当者を定めた。その一は邸内に残っている五人の見張りを捕え、陸田精兵衛の所在を白状させること。その二は守島仲太、広瀬半六、八田益太郎、島口存平らを呼び集めること。その三は密告状を投じて敵の動きを看視すること。などで、第一は即座に七人全部が協力してやり、次に手分けをして第二第三をやる、という順序であった。

この相談がほぼ終ったとき、小屋の外にひたひたと乱れた足音がし、「井坂さま」という女の声が聞えた。菅田平野が提灯を隠し、みんな総立ちになった。十郎太はつぶてのようにとんでゆき、引戸をあけて外を見た。二人の女がすぐそこまで走って来てい、そのうしろから幾人かの侍(一人が提灯をかかげて)たちが追いつめて来るのが見えた。夜明けが近いとみえ、空がぼかしたように仄白くなり、そうして小雨が降っていた。