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にほんのでんせつ

日本の伝説

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《日本の伝説(にほんのでんせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 104,931 字 · 207 頁

青空文庫

(下野風土記。栃木県那須郡黒羽町北滝字御手谷)

この歌が安倍晴明の母だという葛の葉の狐の話と、同じものだということは誰にも分りますが、那須の方は子供のことをいっておりません。ところが、歌の文句にある那須のことやというのが、もしこのお社のある御手谷のことであるならば、福島地方の絹の神様、小手姫御前はもとは一つであろうと思いますが、こちらには親子の話があるのであります。小手姫様は今の飯阪の温泉の近く、大清水の村に祀ってあるのが最も有名で、土地では機織御前の宮といっております。いろいろのいい伝えがあって、少しも一致しませんが、今でもよく知られているのは、羽黒山の神様蜂子の王子の御母君であって、王子のあとを慕ってこの国へお下りなされ、年七十になるまで各地をあるいて、蚕を養い絹を織ることを人民に教え、後に、この大清水の池に身を投げて死なれたというのであります。それはとにかくに、社の前には左右の小池があって水至って清く、今も村々の人は絹を織れば、その織り留めをこの御宮に献納するということであります。(信達二郡村誌。福島県伊達郡飯阪町大清水)

この小手姫の小手という語には、何か婦人の技芸という意味が、あったのではないかと思いますが、今の小手川村の内には、また布川という部落もあって、小手姫がここの川原に出て、自ら織るところ