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にほんのでんせつ
日本の伝説
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《日本の伝説(にほんのでんせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 104,931 字 · 207 頁
もとの地に残っている方の一つの石も、姥石だと思っている人が多いようであります。そうして他の地方にある神石と同様に、この百年ほどの間に重さが倍になったという説もありました。(上総町村誌。千葉県君津郡関村関)
咳のおば様は実は関の姥神であったのを、せきというところから人が咳の病ばかりに、祈るようになったのであろうという説を、行智法印という江戸の学者が、もう百年余りも前に述べていますが(甲子夜話六十三)、この人は上総の関村に、おば石があることなどは知らなかったのであります。関の姥神はもちろん、上総と安房との堺ばかりにあったのではありません。一番有名なものは京都から近江へ越える逢阪の関に、百歳堂といってあったのも姥神らしいという話であります。後には関寺小町といって、小野小町が年を取ってからここにいたという話があり、今の木像は短冊と筆とを手に持った老女の姿になっていますが、以前はこれももっとおそろしい顔をした石の像であり、その前はただの天然の石であったかも知れませぬ。せきはすなわち塞き留める意味で、道祖神のさえも同じことだ、と行智法印などはいっております。