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なかじきり
日本の文学 2 森鴎外(一)
線上閱讀森 鴎外《日本の文学 2 森鴎外(一)(なかじきり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,092 字 · 45 頁
の訪問というは、玄関のかたえなる一間に延かれて、名簿に筆染むることなればおもうのみにてやみぬ。
その年も隊務いそがわしきうちに暮れて、エルベがわ上流の雪消にはちす葉のごとき氷塊、みどりの波にただようとき、王宮の新年はなばなしく、足もと危うき蝋磨きの寄木をふみ、国王のおん前近う進みて、正服うるわしき立ち姿を拝し、それよりふつか三日過ぎて、国務大臣フォン、ファブリイス伯の夜会に招かれ、オースタリア、バワリア、北アメリカなどの公使の挨拶おわりて、人々こおり菓子に匙をおろすすきをうかがい、伯爵夫人のかたえに歩み寄り、事のもと手短かにのべて、首尾よくイイダ姫が文をわたしぬ。
一月中旬に入りて昇進任命などにあえる士官とともに、奥のおん目見えをゆるされ、正服着て宮に参り、人々と輪なりに一間に立ちて臨御を待つほどに、ゆがみよろぼいたる式部官に案内せられて妃出でたまい、式部官に名をいわせて、ひとりびとりことばをかけ、手袋はずしたる右の手の甲に接吻せしめたもう。妃は髪黒く丈低く、褐いろの御衣あまり見映えせぬかわりには、声音いとやさしく、「おん身はフランスの役に功ありしそれがしが族なりや」