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なかじきり
日本の文学 2 森鴎外(一)
線上閱讀森 鴎外《日本の文学 2 森鴎外(一)(なかじきり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,092 字 · 45 頁
などねもごろにものしたまえば、いずれも嬉しとおもうなるべし。したがい来し式の女官は奥の入口の閾の上まで出で、右手にたたみたる扇を持ちたるままに直立したる、その姿いといと気高く、鴨居柱を欄にしたる一面の画図に似たりけり。われは心ともなくその面を見しに、この女官はイイダ姫なりき。ここにはそもそもいかにして。
王都の中央にてエルベ河を横ぎる鉄橋の上より望めば、シュロス、ガッセにまたがりたる王宮の窓、こよいはことさらにひかりかがやきたり。われも数にはもれで、きょうの舞踏会にまねかれたれば、アウグスツスの広こうじにあまりて列をなしたる馬車の間をくぐり、いま玄関に横づけにせし一輛より出でたる貴婦人、毛革の肩かけを随身にわたして車箱のうちへかくさせ、美しくゆい上げたるこがね色の髪と、まばゆきまで白き領とをあらわして、車の扉開きし剣おびたる殿守をかえりみもせで入りしあとにて、その乗りたりし車はまだ動かず、次に待ちたる車もまだ寄せぬ間をはかり、槍取りて左右にならびたる熊毛の近衛卒の前を過ぎ、赤き氈を一筋に敷きたる大理石の階をのぼりぬ。階の両側のところどころには、黄羅紗にみどりと白との縁取りたる「リフレエ」