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あべいちぞく

日本の文学 3 森鴎外(二)

森 鴎外

線上閱讀森 鴎外《日本の文学 3 森鴎外(二)(あべいちぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,545 字 · 140 頁

青空文庫

「どうじゃな。あす為事に出られるかな。大勢の人のうちには病気でおるものもある。奴頭の話を聞いたばかりではわからぬから、きょうは小屋小屋を皆見て廻ったのじゃ」

藁を擣っていた厨子王が返事をしようとして、まだ詞を出さぬ間に、このごろの様子にも似ず、安寿が糸を紡ぐ手を止めて、つと二郎の前に進み出た。「それについてお願いがございます。わたくしは弟と同じ所で為事がいたしとうございます。どうか一しょに山へやって下さるように、お取り計らいなすって下さいまし」蒼ざめた顔に紅がさして、目がかがやいている。

厨子王は姉の様子が二度目に変ったらしく見えるのに驚き、また自分になんの相談もせずにいて、突然柴苅りに往きたいと言うのをも訝しがって、ただ目をみはって姉をまもっている。

二郎は物を言わずに、安寿の様子をじっと見ている。安寿は「ほかにない、ただ一つのお願いでございます、どうぞ山へおやりなすって」と繰り返して言っている。

しばらくして二郎は口を開いた「この邸では奴婢のなにがしになんの為事をさせるということは、重いことにしてあって、父がみずからきめる。しかし垣衣、お前の願いはよくよく思い込んでのことと見える。