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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
どこにいる。男の子か女の子か」
「女の子どす。ほんなら伴れて来ます」と、いって女は立ち上がった。
どこから伴れて来るだろうと思って、私は女の背姿を睨むように見守っていると、彼女は重ね箪笥の上に置いてあった長い箱を取り下ろして、蓋をあけて、その中から大きな京人形を取り出した。
「なあんだ、人を馬鹿にしている」私はそれで、一杯に詰まっていた胸がたちまち下がったように軽くなって、大きな声で笑った。
女もほほと、柔和な顔をくずして静かに笑った。
「ええお人形さんどっすやろ」
私は「うう」と、ただ答えたが、その人形や塗り物の菓子器の彼方にいろいろな男の影が見えるような気がした。
女はよく二つ並べた箪笥の前に坐って鍵をがちゃがちゃいわせていたが、
「あんたはんに見てもらいまよか」といって、衣装戸棚の中からいろんな衣類をそこへ取り拡げて見せたりした。大島紬の揃った物やお召や夏の上布の好いものなどを数々持っていた。
「大変に持っているじゃないか。それだけあればたくさんだ」
「それら皆、あんたはんにいただいた物で拵えましたのどす」母親もいて、次の間からこちらを見ながらそういっていたが、そうばかりでもなさそうであった。