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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
けれども女の方でも後には、そんな考えでのみこちらの扶助を甘んじて受けていなかったことは、長い間の経緯で否応なしに承知しているはずであった。
「うむ、それは、あんたのいうとおり、初めはそんなことを言っていたことも覚えている。けれどもお前もだんだん、そんなつもりばかりで私に長い間依頼していたのではなかったろう」
そういうと、女はそれに何といって応えたらいいかと、ちょっと考えているようであったが、
「そない金々て、お金のことをいわんとおいとくれやす」と、また口を突いていった。
それで、大分心が平静に復っていた自分はまた感情が激してきて、
「金のことをいわんとおいてくれて、私は好んで金のことをいいたくはない。けれども出来ぬ中から無理をして出来る限りのことをして上げたというのは、そこに、とても一口では言い尽すことのできぬ私の真心が籠もっているからじゃないか。何も金が惜しいのでいうのじゃない」
女はやっぱり箪笥に凭りかかりながら、
「それはようわかってます。……そやからお金をお返ししますいうてます。何ぼお返ししまよ」
「いや、私は金が返してほしいのじゃない。今お前がいうように、私がこれまでしたことが、ようわかっているなら、少しも早くその商売を止めてもらいたい」