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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
といったので、私はやっと思い起した。そして四、五年前に較べると全く見違えるほど成人した若奴の大人びた容姿を呆れたように見まもりながら、
「あッ、そうだったか、若奴さんとはちょっと気がつかなかった。あんたがあんまり好い芸妓さんになったもんだから、そういわれるまでどうしても思い出せなかった」そういって、私はまた彼女の顔をしみじみと見ていた。ほんとに四、五年前見ていた時分とはまるで比べ物にならぬくらい美しい女になっているのに私は驚いたのであった。
女主人は機嫌好げに彼女の顔と私の方とを交る交る見ながら、
「ほんまに好い芸妓さんになりゃはりましたでっしゃろ。この妓にも、好きな人がひとりあるのっせ」と、軽く弄うようにいうと、若奴は優しい顔に笑窪を見せて羞かしそうにしながら、両掌で頬のあたりを擦って、
「ほんまにあのころはよう寄せてもろていましたなあ」
と、過ぎ去った時分のことを思いうかべるような顔をしている。私もそれにつれてそのころのことがまた思い起されるのであった。
涼しい加茂の河原にもうぽつぽつ床の架かる時分であった。春の過ぎてゆくころからほとんど揚げつめていた女がだんだん打ちとけてくるにつけて、