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うつりが

日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江

近松 秋江

線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁

青空文庫

……そりゃ気の毒どした。あれで一生あのとおりやったら、どないおしやすやろ思うて心配していましたけど、それでもまあ早う良うおなりやして結構どす。一時はどないなるか思うてたなあ」女主人はそういって若奴の方を振り返って見た。

若奴は同情するような眼をしてうなずきながら、

「ほんまに気の毒どしたわ。皆なほかの人面白がって対手にしてはりましたけど、姐さんわたし何もよういえしまへなんだ。顔を見るさえ辛うて」

「そうやった。眼が凄いように釣り上がって、お園さんのあの細い首が抜け出たように長うなって、怖いこわい顔をして」

私はそうであったかと思いながら、

「そんなにひどかったのですか」

といっていると、女主人は私の方をじっと見ながら、

「あんたはんよっぽどお園さんに酷いことをおいいやしたんやなあ」とたずねるようにいう。

「どうしてです?」

「あんたはんの手紙に警察へ突き出すとか、どうとかするようなことをいうてあったと見えて、そのことをいつもよういうてました。ほかの者警察のことも巡査のことも何も言うておらんのに、お園さん、そら警察から私を連れに来た、警察が来る警察が来るいうて、警察のことばかりいうていました。