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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
「何をいっている!……汚い風をしていたって構やしないじゃないか、お馴染みの方だもの。……」おかみは愛想笑いをしながら「もう我儘な女ですからさぞあなた方にも遠慮がありませんでしょう。この間から歯が痛いとか頬が脹れたとかいって、それは大騒ぎをしているんですよ。……もう一遍いって雪岡さんがいらしったんですから、そのままでいいから降りておいでッて」
お宮は階段を二つ三つ降りて来て階下を覗きながら、「あははは!」と笑った。
二、三日逢わなかった懐かしい顔は櫛巻きに束ねた頭髪に、蒼白く面窶れを見せて平常よりもまだ好く思われた。
「どうしたの。そのままだって構やしないじゃないか。……どっか二人でその辺を、年の市でも見ながらブラブラ歩いていらっしゃいまし。……どうだい、雪岡さんが見えたから頬の痛むのが癒ったろう。どっか二人でそこらを散歩しといで……」
「ええ。あなたどうする? ゆく。じゃ私も行くからちょっと待っていて下さい」私の方を見ながら媚びるようにいっていそいそ二階に駆け上っていった。
私は主婦と長火鉢の向いに差し向ってそういう売女を置く家の様子を見ぬ振りをしながら気をつけて見ていた。