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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
そうすりゃ柳沢もますます好い気持ちになってこちらからやっている手紙をまき上げて読むに違いない。女を取られた上にこちらの手紙まで読まれて笑いものにせられるのが残念だ。
と、じっと歯を喰い縛る思いで、また声を和らげながら、
「君が、僕が厭なら厭でかまやしないよ。僕は諦めるから」
そういった。けれども私の本心は、こいつにそんなにまで柳沢と見変えられたかと思えば、未練というよりも面が憎くなって、どうしてこの恋仇をしてやろうかと胸は無念の焔に燃えていた。するとお宮は、
「じゃこれから二人で柳沢さんのところにいって見ようか」と思い立ったようにいった。
私は、また柳沢とお宮と並べておいて二人がどうするか見たいと思ったから、
「ああ行って見よう」といって、それから二人で柳沢の家に行った。
柳沢は例のとおり二階の机の前に趺座をかいていたが私たちが上っていったのを見て、笑うのは厭だというような顔をして黙り込んでまじまじ他の顔を瞻っていた。
「書生の家だから、何にもないだろう」
お宮がそこらを見廻しているのを見て、柳沢はそういった。
「好い家ねえ。こんなところにいたらさぞ勉強出来ていいでしょう」