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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
お宮は腹からいうようにいった。
私は畳が冷たかったから、自身で床の間に積んであった座蒲団を取って来て敷いた。
するとお宮はそれを見て、
「あなた自分のだけ取って来て私のは取って来てくれないの」ぷりぷりしていった。
私は聞いて呆れながら、お宮は、私がそんなにして女の気嫌を取るほど惚れていると自惚れているのだろうかと思って柳沢の顔を見た。柳沢もお宮のいうことがあまりに妙なことをいうとでも思ったか私と顔を見合わせて笑った。
「俺は、そんなにしてまで君の気嫌を取らなくってもいいのだ。ははは」
そういって、私はわざと声高に笑った。
お宮は不貞た面をふくらして黙りこんでいたが、しばらくして私の顔をジロジロと汚そうに瞻りながら、
「あなたその顔はどうしたの?」
柳沢もそれにつれて私の顔を汚そうに見てにやりにやり笑っていた。
私の顔はその時分口にするさえ浅ましい顔をしていた。まだ去年の秋お宮のところへ二度めか三度めにいった時翌朝帰って気がつくと飛んだことになっていた。医師に見てもらうとその病気だといって手当てをしてくれたけれど、別に痛くも何ともなかったから、そのままうっちゃっておいた。