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いも
日本プロレタリア文学集・11 「文芸戦線」作家集(二)
佐左木 俊郎
線上閱讀佐左木 俊郎《日本プロレタリア文学集・11 「文芸戦線」作家集(二)(いも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 26,241 字 · 54 頁
斯う言って捨吉爺は、地主の森山に泣付くより仕方が無かった。新平の家でも、松代の家でも、それから平吾の家でも、同じような結果だった。
「小作米は兎に角、作の悪かった原因がわかんねえようじゃどうも困るね。第一あんな竹の樋で水を運んでちゃ、駄目でがあせんか?」
「それゃ、且那様、俺等もそれ位のごとは知ってるのでごわすが、俺等にゃ竹の樋より上の分にゃ、手が出ねえもんでごわすから。」
「無論それは此方で拵えますがね。他人から笑われねえだけのごとあしますべ。――やって置くだけのことやって置かねえど、小作米を貰うわげに行きせんでがすからね。」
森山はそう言って笑った。併し、それは、彼の心臓から吐出された言葉だった。
「来年はまあ、箱樋でも拵えで見るがね? そんでいげねえようだったら、改めて鉄管なりなんなり引くとして。」
「箱樋を引いて頂けゃ、水はそれで十分以上でごわすもの、そしたら、肥料もどっさり入れて、田の草取りなんかわらわらと、俺等は鬼のように稼いで、来年こそは、立派な稲にしてお目にかけしてごわす。」
捨吉爺は、水に難儀をした今年の夏のことなどを思い出しながら、斯う言って、両方の眼をちかちかと潤ませた。