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あゆむ
日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)
戸田 豊子
線上閱讀戸田 豊子《日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)(あゆむ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,183 字 · 44 頁
黙って指される方を見ると、熊のような大男がぎらぎらする手斧を提げて、慌てくさって逃げてゆく後姿があった。盗伐者と地主――こう思うと、変に擽たく、情なく、血の遠さを感じた。それが一種の表情になっていたのかも知れない。
(軽蔑してるんだろう、おい!)
山本はいくらか蒼ざめて、押っ被せる様にそう言った。――
……「何しろ七八年も前の話でしょう。その頃の農民ったら、シチェドリンの諷刺小話へ出てくるような百姓――典型的なね、好人物で無智で狡猾の逸話的存在でしかなかったわね――私ったら地主ののら息子が引張って行った、折っぺしょれ相な女っ子でしかなかったし……」
時々、渡にひやかされ乍ら、ながながとそんなことを喋り、最後につけ加えた。
「子供について私、明るい希望をもってるつもりよ、よくなるに決ってるんだもの」
予期しない意地悪い現実にぶつかった。
渡はさっと顔色を変えた。
指先にさわったのを、悪戯半分に、彼のポケットから抜き出した瓶を掴んで、とも子は戸迷いし乍ら立上った。
「これは厳粛なんだいね」
「言おうと思っていたんだ」
「何時から?」
「何だ、帰るのか」
ええ、帰るつもり、という代りに、