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しゅんせつせん

日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集

葉山 嘉樹

線上閱讀葉山 嘉樹《日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集(しゅんせつせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 34,935 字 · 73 頁

青空文庫

浚渫船

私は行李を一つ担いでいた。

その行李の中には、死んだ人間の臓腑のように、「もう役に立たない」ものが、詰っていた。

ゴム長靴の脛だけの部分、アラビアンナイトの粟粒のような活字で埋まった、表紙と本文の半分以上取れた英訳本。坊主の除れたフランスのセーラーの被る毛糸帽子。印度の何とか称する貴族で、デッキパッセンジャーとして、アメリカに哲学を研究に行くと云う、青年に貰った、ゴンドラの形と金色を持った、私の足に合わない靴。刃のない安全剃刀。ブリキのように固くなったオバーオールが、三着。

「畜生! どこへ俺は行こうってんだ」

樫の盆見たいな顔を持った、セコンドメイトは、私と並んで、少し後れようと試みながら歩いていた。

「ヘッ、俺より一足だって先にゃ行かねえや。後ろ頭か、首筋に寒気でもするんかい」

私は又、実際、セコンドメイトが、私の眼の前に、眼の横ではいけない、眼の前に、奴のローラー見たいな首筋を見せたら、私の担いでいた行李で、その上に載っかっている、だらしのないマット見たいな、「どあたま」を、地面まで叩きつけてやろう! と考えていたのだ。

「で、お前はどこまでも海事局で頑張ろうと云う積りかい?」