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しゅんせつせん

日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集

葉山 嘉樹

線上閱讀葉山 嘉樹《日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集(しゅんせつせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 34,935 字 · 73 頁

青空文庫

陰気であった。が、何だか険悪であった。線香をいぶすのにも、お経を読むのにも早過ぎた。第一、室が広すぎた。余り片附きすぎてとりつき端がなかった。退屈凌ぎに飲食することは、前祝いのようで都合が悪かった。

不思議な事には、子供たちは誰一人、眼を泣きはらしていなかった。

本田富次郎の頭脳が、兎に角物を言う事の出来た間中は、彼は此地方切っての辣腕家であった。

他の地主たちも、彼に倣って立入禁止を断行した。そして、累卵の危きにある(地主の権利)を辛うじて護る事が出来た。小作人どもは、ワイワイ云ってるだけで、何とも手の下しようがなかった。大抵目ぼしい、小作人組合の主だった、(ならず者ども)は、残らず町の刑務所へ抛り込まれてしまった。

「これで、当分は枕を高くして寝られる」と地主たちが安心しかけた処であった。

枕を高くした本田富次郎氏は、樫の木の閂でいきなり脳天をガンとやられた。

青年団や、消防組が、山を遠巻きにして、犯人を狩り出していた。が、青年団や消防組員は、殆んど小作人許りであった!

勿論、当局が小作人組合に眼を光らさぬ筈がない。けれども、監獄に抛り込んである首謀者共が、深夜そうっと抜け出して来て、ブン殴っておいて、またこっそりと監房へ帰って、狸寝入りをしている、と云う考えは穿ちすぎていた。