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しゅんせつせん
日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集
葉山 嘉樹
線上閱讀葉山 嘉樹《日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集(しゅんせつせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 34,935 字 · 73 頁
(気をつけろってやがる。奴は俺を見抜いてやがるんだ。物騒な話だ)
彼はバスケットを提げて、食堂車を抜けて二等車に入った。
二等車では、誰も坐っていない座席に向って、煽風機が熱くなって唸っていた。
彼は煽風機の風下に腰を下した。空気と座席とが、そこには十分にあった。
焙られるような苦熱からは解放されたが、見当のつかない小僧は、彼に大きな衝撃を与えた。
(あの小僧奴、俺の子供位に雛っ子の癖してやがって!)それでいて、その小僧っ子の見てい、感じてい、思ってい、言う言葉が、(親位な俺に解らねえなんて)
彼は車室を見廻した。人は稀であった。彼の後から跟いて入って来た者もなかった。
(どうにも疑もかけられなかった。危え瀬戸際だったよ、だが、小癪な小僧だよ。あいつは)
彼と、彼を愕かした少年との間には、言葉の異う二つの国民位の、距離があった。彼には、その少年は、云わば怪物であった。警察や、町などで、彼の知っていた少年とは似てもつかない、妙な訳の分らないものであった。それは、何か知ら追っかけられるような、切迫した感じで彼をつっ突いた。彼は、その本能的な、その上、いつまでも人生の裏道を通らねばならないことから来る、鋭い直感で、大抵一切のことを了解した。