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しゅんせつせん
日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集
葉山 嘉樹
線上閱讀葉山 嘉樹《日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集(しゅんせつせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 34,935 字 · 73 頁
けれども、コレラは容赦をしなかった。
水火夫室から、倉庫へ下りる事は、負って下りると云う方法で行われた。
倉庫から、ピークへは、「勝手に下りて貰う」より外に方法が無かった。
十五呎を、第一番に、死体が「勝手に」飛び下りた。
次に、火夫が、憐を乞うような眼で、そこら中を見廻しながら、そして、最後の反抗を試みながら、「勝手」に飛び込んだ。
「南無阿弥陀仏」と、丈夫な誰かが云ったようだった。
「たすけ……」と、落ちてゆく病人が云ったようだった。そんな気がした。
水夫は未だ確りしていた。
「俺はいやだ!」と彼は叫んだ。
彼は、吐瀉しながら、転げまわりながら、顔中を汚物で隈取りながら叫んだ。
「俺は癒るんだ!」
「生きてる間丈け、娑婆に置いて呉れ」
彼は手を合せて頼んだ。
――俺が、いつ、お前等に蹴込まれるような、悪いことをしたんだ――と彼の眼は訴えていた。
下級海員たちは、何か、背中の方に居るように感じた。又、彼等は一様に、何かに性急に追いまくられてるように感じた。
彼等は、純粋な憐みと、純粋な憤りとの、混合酒に酔っ払った。
――俺たちも――
此考えを、彼等は頑固な靴や、下駄で、力一杯踏みつけた。