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にほんばし

日本橋

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《日本橋(にほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,697 字 · 177 頁

青空文庫

四

「可哀相に、鶯を。」

とつい、衣紋が摺って、白い襟。髪艶やかに中腰になった処を、発奮で一打、ト颯と烏の翼の影、笹を挙げて引被る。

「ああ、少時。」

慌しく声を掛けて、白足袋のしょぼけた草鞋で、つかつかと寄ろうとした、が、ふと足を曳いて、手甲掛けた手を差伸ばして、

「もしもし、大高氏、暫時、大高氏。」と大風に声を掛けて呼んだのは、小笠を目深に、墨の法衣。脚絆穿で、むかし傀儡師と云った、被蓋の箱を頸に掛けて、胸へ着けた、扮装は仔細らしいが、山の手の台所でも、よく見掛ける、所化か、勧行か、まやかしか、風体怪しげなる鉢坊主。

形だけも世棄人、それでこそ、見得も外聞も洒落も構わず、変徹も無く、途中で芸者を見ていらるる。――斜めに向う側の土蔵の白壁に、へまむし、と炭団の欠で楽書をしたごとく彳んで、熟と先刻から見詰めていた。

小笠のふちに、手を掛けながら、

「源吾どの、ちょっと、これへ。……」

四

「そりゃ、(かな手本。)の御連中、あすこで呼んでいさっしゃる。」

潮を踏んだ飴屋は老功。赤い涎掛を荷の正面へ出して、小児の捌口へ水を向ける。

「僕の事かい。」

と猶予いながら、笹ッ葉の竹棹を、素直に支いた下に、鬢のほつれに手を当てて、おくれを掻いた若い妓の姿は、願の糸を掛けた状に、七夕らしく美しい。