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にほんばし
日本橋
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《日本橋(にほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,697 字 · 177 頁
「稲葉家様の縁起棚の壁でござりますの、縁側などに掛っていて拝見したことがござりますよ。はい。何でござりますか、それでは旦那様は、」
「うむ、内のもの同然だ。」と頤を撫でる。
界隈では、且つ知って且つ疑う。土地に七不思議が有ればそれはその第一に数えて可い。一石橋の河太郎、露地の駒下駄、お竹蔵などとともに、この熊の皮がそれである。湿深そうな膏ぎったちょんぼり目を膃肭臍、毛並の色で赤熊とも人呼んで、いわゆるお孝の兄さんである。……本名五十嵐伝吾、北海道産物商会主とある名札を持つから、成程膃肭臍も売るのであろうが、他に何を商って、どこに住むか、目下の処いまだ定かならずである。
それ、後家の後見、和尚の姪、芸者の兄、近頃女学生のお兄様、もっと新しく女優の監督にて候ものは、いずれも瓜の蔓の茄子である。この意味において、知るものは、お孝における羆の皮を一方ならず怪むのであった。
赤熊は指揮する体に頤で掬って、
「な、阿爺どの、だから俺には何も秘すことは要らんのですわい。」
「ええ、ええ、別に秘すではござりません、(これからお茶屋へ行って一口飲むから、待ってるからきっとおいで。