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にほんばし
日本橋
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《日本橋(にほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,697 字 · 177 頁
……大将も惜い事に、懐中都合は悪かったね。
二階へ返って、小座敷へ坐直る、と下階で電話を掛けます。また冷評すだろうが、待人の名が聞える。」
二人は黙って微笑むのみ。
「ねえ、そうした電話が筒抜けに耳へ響くのは、事は違うが、鳥屋の二階で、軍鶏の鳴声を聞くのと肖ている。故に君子は庖厨を遠ざく……こりゃ分るまいが、大尽は茶屋の構の大からんことを望むのだとね。
(誰だ、誰だ、誰を掛けてるんだ。)(何、清葉だ、清葉とは誰だ。)一座の芸者が小さな声で、(滝の家の姉さんよ。)(馬鹿、清葉が、こんな家へ来るもんか。)
と隣座敷で憚らない高話。」
「お酌ぎ……千世ちゃん、生意気だね。お孝なら飛んで来る、と言やしないか。」
「誰も、そんな事を言いはしませんよ。」とお千世が宥めるように優しく云って内端に酌ぐ。
「口惜いねえ、……(清葉が来るもんか。)呼んで下すった、それが私で、お孝が、こんな家へと云って貰いたかった。……私はそこへ手水鉢なんぞじゃない、摺鉢と采配を両手に持って、肌脱ぎになって駆込んで驚かしてやったものを。」
「でも、何だ、お前さんとは、今しがた逢ったばかりじゃないか。