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にほんせいしんしけんきゅう
日本精神史研究
和辻 哲郎
線上閱讀和辻 哲郎《日本精神史研究(にほんせいしんしけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 頁
の春の歌の中のやや見るべきものである。『古今』の歌の優れたものが主として恋の歌に多いのも、この心理描写的に歌う傾向がそこにおいて最もよく生かされるからである。がしかし、この傾向のために歌の具象性が著しく減じて行くことはやむを得ない。そうしてここに『万葉』の歌との最も著しい相違が現われて来る。
『万葉』においては、恋を歌うものといえども、『古今』の叙景の歌よりははるかに具象的である。たとえば、
さよなかに友よぶ千鳥物念ふとわびをるときに鳴きつゝもとな (巻四、相聞、大神女郎)
皆人を寝よとの鐘はうつなれど君をし念へば寝ねがてにかも (巻四、相聞、笠女郎)
吾妹子が赤裳のすそのひづちなむ今日のこさめに吾共ぬれな (巻七、雑)
吾背子をなこせの山の喚子鳥君喚びかへせ夜の更けぬとに (巻十、雑)
ここに我々は恋の心に浸された鐘や春雨や喚子鳥がきわめて直観的に現わされているのを感ずる。しかし恋の心が物象の姿をからずに直接に詠嘆されている場合でも、依然として『万葉』の歌は直観的である。我らはそこに心理的な濃淡陰影を見るのでなく、恋の情熱を直接に感ずる。
夕されば物念まさる見し人の言問はすさま面景にして (巻四、相聞、笠女郎)