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にほんせいしんしけんきゅう

日本精神史研究

和辻 哲郎

線上閱讀和辻 哲郎《日本精神史研究(にほんせいしんしけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 頁

青空文庫

と認むべきではなかろうか。

読者が光源氏を知っていることを前提とするには、二つの場合がある。一つは紫式部がすでに光源氏について多くのことを書き、その後に帚木の巻を書く場合である。宣長は右の発端が後の巻々を暗示することを説いているが、それは全篇の構図をすでに知っている者の心に浮かぶことであって、後の物語を全然知らない者が初めて帚木の巻を読む時にはこの暗示には何の内容もない。従って彼の観察は帚木が後に書かれたという所にまで持って行かなければ徹底しない。この場合には、作者が自分のかつて描いた光源氏に対して自ら抗議を提出するということになりはしないかという疑問が起こるが、しかしそうは見られない。後の巻々においては、作者は光源氏をまじめな、人情に富んだ人として描き、たわれた人としては描かなかった。だから作者は自分の描いた光源氏に対して何ら抗議の必要を見ない。むしろ作者は、自分の描いた光源氏が多くの読者によって誤解され非難されたのに対して抗議を提出したのである。かく見れば『源氏物語』の成立について何ほどかの事情を察することもできるであろう。もしこの仮定を許せば、最初に書かれたのは恐らく継母藤壺との姦通や、六条の御息所と葵の上との争いや、御息所の生霊が葵の上を殺す話や、初々しい紫の上との関係や、朧月夜との恋などであっ