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にっき・しょかん

日記・書簡

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《日記・書簡(にっき・しょかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,385 字 · 15 頁

青空文庫

どんな心持で、私は、愛する者と偕に棲み、偕に仕事をする自分を見る事だろう。

愛する者よ、自分は又、自分の殆ど不可抗の無力を犇々と感じられる。

四月二十八日午前二時

我が六畳の書斎にて記す。

(彼は静に隣室に眠って居る)

此の日は、自分に、一生の運命の或決定的な転向を暗示した時である。

人生観の裡に含まれた、多くの曖昧さ、其等は皆、所謂よい家庭の習俗と、甘い、方便に安んじ得る妥協的な利己から来て居たものが、明かな光に照り出された。

自分が、彼との結婚を宣言した時、既に覚悟した、その覚悟が心に甦る。

人としての彼を選んだ自分は、人として、彼並びに自分を活さなければならないのだ。

――○――

彼が帰朝以前から問題に成って居る、分家問題は、此の二三日に於てそのクライマックスに達した。

親達の意見は、物質的に保障のない、社会的に位置のない彼を真ともに世間に向けて生活するよりは、父の威を暗示し得る中條姓で行く方が、世間の人間に尊敬を感じさせ易く、私共の結婚に就て、喋った人の口もふさげ、仕事も出来ようと云うのである。

二人は、彼等の死後、或は生前も、物質的保護を受けるに正当な位置に置かせようとして、彼の改姓をのぞむのである。