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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 18,172 字 · 36 頁

青空文庫

大先生といっても、一高の生徒だった鵜沢総明氏が、まだ惣一といった昔のことで、はじめあたしたちは、千葉の田舎から来たほやほや中学生の書生さんの頭に、白髪が多くあるので、黒い毛の方を抜いてしまう方が汚なくないなんぞと、頭の毛を引っつかんだりした、いけない幼女だったが、独逸人の教師の家へ寄宿して、やがて一高の生徒になると、忽ちあたしたちの大先生にあがめ、新しい話――つまり文学を聴くのに貪慾になって、それからそれからとせがんだものだった。次の妹は、趣味の共通から、共同の陣を張りはするが、もともと母の秘蔵娘であるところから、ちょろりと裁縫の時間の内幕を洩らしてしまったりする。そこで、いよいよ懲らしめのため、も一つには行儀見習い、他人の御飯を頂かないものは我儘で、将来人が使えないという、立派な条件を言いたてに、母が大好きで、自分が、旧幕時代の大名奉公というもの、御殿女中というものにあこがれていた夢を、時代の違った時になって、娘によって実現して見ることにきめてしまった。父が、旧岡山の藩主であった池田侯の相談役であったのと、そのすこし以前にお家騒動が起りかけたりしたを処理したので、そんな縁故から頼み込んで、旧藩臣の身分のある者の娘でなければつかわなかったという、老侯夫妻のお小姓――平ったくいえば、小間使いみたいな役に