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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 18,172 字 · 36 頁

青空文庫

何とやらん無念のおもいが、胸にグンと来るのを、どうしようもなかったのは、志望してそのお伴のまたお伴に、ついてゆけることなど、およそ出来るわけのものでもなかったからだ。次の部屋にいようとも、あたしの耳は発音をきくだろう、耳で覚えたものを寝てからブックに照し合わせても解る筈だとは――とは、とはと、思いもするが、あたしは読ませないようにという意味が、御奉公の眼目におかれているので、お下がりの新聞さえ読ませられないのだ。御家令というのが、もとの上席家老格で、その人があたしの父の親友、そしてその人が母からよく頼まれて、どうも変な子だということを、年寄りたちに伝えてあるし、母がまた一々、他の人にも、あたしの病いの虫のように話したのであるから、あるいは、老侯爵は面白がって許してくれるかもしれないが、傍のうるささが思いやられて、お孫姫さま英語御教授をおうけになるお供を、お願いする機会はなかった。

だが、それは、その場合大望すぎたのだ。あたしはこれでなかなか自由の時間を持っていたのだ。家にいる時とちがって、夜中の時間は絶対に自由にできる。といって、もとより人に知れないようにではあるが、そこにはまた何やらん、やりよさがあった。