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めいじのせんそうぶんがく

明治の戦争文学

黒島 伝治

線上閱讀黒島 伝治《明治の戦争文学(めいじのせんそうぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,887 字 · 24 頁

青空文庫

第三章 日清戦争に関連して ―独歩の「愛弟通信」と蘆花の「不如帰」

とか「米国恐るゝに足らず」とか云った日米戦争未来記が市場に洪水している如く、日露戦争前にあっては、日露戦争未来記が簇出して、いやが上にも敵愾心をあおり立てゝいたことである。

これらの戦争に関連した諸々の際物的流行は、周知の如く、文学作品として、歴史の批判に堪え得なかったばかりでなく、当時の心ある批評家から軽蔑された。

第三章 日清戦争に関連して

―独歩の「愛弟通信」と蘆花の「不如帰」

国木田独歩の「愛弟通信」は、さきにもちょっと触れたように、日清戦争に従軍記者として軍艦千代田に乗組んで、国民新聞にのせた、その従軍通信である。云うまでもなく、小説ではない。通信である。それだけに、空想でこしらえあげたあとはない。すべてが、彼の見聞によっている。この時代の独歩は、まだ「源をぢ」を書かないし、「武蔵野」を書かない時代の独歩だった。しかし、後年の自然主義作家としての飾気のない、ぶっきら棒な、それでいて熱情的な文章は、この通信に、既に特色を現わしている。彼は、愛国心に満ちた士官の持つ、それと同じ心臓で、運送船で敵地に送られた陸兵の上陸や、大連湾の攻撃や、威海衛の偵察、旅順攻撃、戦争中の軍艦に於ける生活、威海衛の大攻撃等を見、聞き、感じて、それを報告している。